労働者性判断「調査尽くせ」厚労省が労働局に指示 ~1・24レクにてMIC加盟組合らに説明~

 1月24日、MICフリーランス連絡会の要望から、井坂信彦衆議院議員(立憲民主党)への「労働者性判断」などに係る厚生労働省のレクが行われた。MIC加盟組合のほか、全国一般三多摩労働組合とキャバ&アルバイトユニオンOWLsが参加した。

 このテーマでのレクは2回目(前回は2022年9月)。井坂議員の司会で、事前に提出していた23の質問に厚労省の担当者がそれぞれ回答。回答を受け、質問や意見を述べる形で進められた。

 はじめに、ヤマト運輸でDM便を配達してきたクロネコメイトの男性(三多摩労組組合員)と、校正プロダクションR社から出版社I社に派遣されていた常駐フリーのTさん(出版ネッツ組合員)が、それぞれの働き方と問題点を話した。常駐フリーの件について厚労省は、「R社が雇用なら『派遣法の問題』になる。労基署と派遣担当部署で連携したい」と述べた。

 前回のレクでは、報酬未払いなどで労基署に行っても、「グレーです」「ここは労働者性について判断する場ではない」と言われ労働者性があるかどうか判断してもらえない窓口対応が問題になった。フリーランス法国会審議でも取り上げられ、厚労省の青山桂子審議官は「必要な調査を尽くし判断を行うよう徹底する」と答弁していた。今回のレクで厚労省労働基準局は、「本省の監督課から都道府県労働局に対し、監督署で必要な調査が尽くされているか確認するよう指示を行っている」と説明。「個々の事案で労働者性判断を確実に行うことで、(実態は雇用なのに業務委託等に)誤分類されている方を救うことが重要と考えている」と述べた。

 参議院附帯決議も求めている「労働者性判断基準見直し」について厚労省は、このほど立ち上がった「労働基準関係法制研究会」で多様化する働き方、労働者像に現行法制が合っているかどうか、判断基準も含め「スタートラインから議論する」とした。労働時間規制は問題含みだが、労働基準法制は大きく動こうとしている。

 労働者性が争点になった不当労働行為救済申立事件が申し立てから命令まで時間がかかる問題では、中労委事務局が、2022年までの5年間に「労働者性・使用者性が争点になった事件」は年に11~24件(終結事件の約6.5%)とした上、「解決の迅速化は必要だが、当事者に主張を尽くしてもらい命令を正確にするには調査などの回数がいる。命令を出しても再審査や行訴が続くこともあるので、多くの労委では和解に注力している」と説明した。

(北健一/日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)幹事)