声明:フリーランスからしごとを奪うインボイス制度の実施を中止に

2021年12月25日
出版ネッツ執行委員会

 2021年10月から、インボイス制度(適格請求書等保存方式)に基づくインボイス発行事業者の登録申請が始まりました。インボイスとは、「売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるもの」とされています。この制度で導入される適格請求書等とは、請求書などに「税務署長から指定された登録番号」を記載したものです。税務署長に適格請求書発行事業者の登録申請を行うと、自動的に課税事業者となります。これまで年間売上1,000万円以下のフリーランス等は免税事業者とされてきましたが、取引先から適格請求書(インボイス)の交付を求められた場合、「登録事業者」の登録を行わなければならず、課税事業者に変更を余儀なくされることが予想されます。
 インボイス制度には以下のような欠陥があります。
・免税事業者はインボイスの発行ができないため、発注側は消費税の税額計算の際、仕入税額控除ができなくなり、結果として消費税の税額が増加してしまいます。

・発注する事業者は、取引相手に対し免税事業者から課税事業者に変更を迫ることになるため、事実上、税率変更を伴わない増税策となります。

・年間売上が1,000万円以下の免税事業者が取引から排除されかねません。課税事業者である取引先からは、消費税分を値引きするよう迫られることも予想されます。
 私たちフリーランスの大半は売上が1,000万円以下の免税事業者であるにもかかわらず、課税事業者として消費税を納付するか、免税事業者のままでいることを選んだ場合は、取引先に消費税分を値引きするよう迫られたり、仕事を切られる懸念があります。事業者間の取引慣行を壊し、免税点制度を実質的に廃止するインボイス制度の実施は、フリーランスにとって死活問題です。
 私たちフリーランスの原稿料や制作費は何年間も据え置きの状態が続き、ぎりぎりの売上や収入に甘んじている層は相当に上ります。加えて、この2年間、コロナ禍の直撃を受けて仕事がなくなったり、出版活動、取材活動はさまざまに支障をきたしています。インボイス制度による不利益な変更で収入が激減したり、生業自体が立ち行かなくなったりするフリーランスが続出するのではないかと憂慮しています。
 フリーランスからしごとを奪うインボイス制度の実施中止を、強く求めるものです。

声明:フリーランスからしごとを奪うインボイス制度の実施を中止に(PDF版)

出版ネッツではインボイス制度に関する情報提供を募っています。
発注者・取引先から「インボイス制度に登録したか?する予定はあるか?」「インボイスに登録しない場合の支払いについて」など様々な案内が届いているかと思います。
これらの情報を把握して対策を立てたいと考えています。ぜひ情報をお寄せください。

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