[特別決議]ハラスメント撲滅/防止宣言

特別決議

あらゆるハラスメントを許さず、出版フリーランスの現場における
ハラスメントの撲滅と防止に取り組もう

 パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントをはじめ、ハラスメントへの関心が高まっています。このハラスメントがいかなる理由があろうと相手の人格や尊厳を否定する、許されない行為であることはいうまでもありません。またハラスメントの容認や放置は、フリーランスが働く環境にも多大な悪影響を及ぼします。 ハラスメントの問題は、日本だけでなく国際的にも早急に撲滅すべき課題になっています。6月21日には国際労働機関(ILO)の年次総会において「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約および勧告が採択され、これに日本政府も賛成しました。さらにその前となる5月下旬には、企業にパワーハラスメントの相談窓口設置などを義務づける改正労働施策総合推進法等も成立しましたが、条約が求めるハラスメントを直接禁止したり制裁したりする規定はなく、条約批准にはさらなる手当てが必要になっています。

  私たち出版フリーランスに関わるハラスメントの実態はどうでしょうか。これまでも具体的事例として、①男女の付き合いを求められ、断ったところ約束の仕事が来なくなった、②取材後に帰りのタクシーで取材相手が抱きついてきて、胸や尻を触ろうとした、③掲載した写真について「しかたなく載せた」と言ってギャラを値切られた例などが挙げられています(「forum」2017年10月号セクハラ・アンケート事案から)。
 出版ネッツが加盟する出版労連は2019年春闘で、経営者に対して①「あらゆるハラスメントの防止・撲滅宣言」の社内外への公開、②ハラスメントの禁止や行為者への厳正な対処などを明記した就業規則の作成、③ハラスメントから守るべき労働者には従業員だけでなくフリーランスや取引先の従業員も含まれることの明確化、④安心して相談できる窓口の設置、⑤ハラスメント予防のための研修の実施、⑥ジェンダーバランスの改善、などを内容とする「あらゆるハラスメントの防止・撲滅を求める要求書」を提出し、協定化することを決めました。


 フリーランスへのハラスメントの予防・対処では取引先や取材先の責任が重要である一方、労働組合の役割も大事です。被害者の相談に対する適切な対応とそのための学習など、労働組合としてできることに努めます。また組合内部も含めフリーランスが活動する場において、あらゆるハラスメントの撲滅と防止に取り組むことを決議します。

2019年7月6日

ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)
第36回定期大会