フリーランスの春闘宣言

2022年1月14日
ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)執行委員会

 日々、さまざまなコンテンツ作りに勤しんでおられるみなさん。私たちは出版ネッツと申します。この業界に働く、フリーランスで作る労働組合です。
 1970年代、出版界、とりわけ雑誌の制作現場において、先割レイアウトと呼ばれる編集方式が確立されたことから、ライター、エディター、デザイナー、フォトグラファー、イラストレーター、校正者など、大量のフリーランスが生み出されました。雑誌が隆盛を極めた時代に、クリエイティブの礎を築いたのは、産業の要請によって輩出されたこれらフリーランスであったと言っても過言ではありません。言うなれば、フリーランスはメディア産業の申し子でもあります。
 時は移り、90年代中盤から、あらゆる産業のもとでデジタル化が進行しました。媒体転換が進み、アナログ媒体の多くが電子媒体やネット媒体への転換を模索中です。私たちフリーランスも、メディア産業に到来したデジタル化の大波も受けながら、産業全体に根を張って、クリエイティブワークに従事しています。
 私たちの活動においては、紙と印刷から大きく飛躍を遂げ、デジタル、Web、映像へとウイングを広げ、報道やエンターテインメント、広告、マーケティング、学術など、さまざまにジャンルを横断したフィールドが源泉となっています。
 私たちフリーランスにも、低廉な報酬、不安定な就労、曖昧な契約、未確立の権利という状況の中にあって、ハラスメント防止という言葉もなかった時代に泣き寝入りせずに声を上げた先達がありました。雇用の安全弁として使い捨てにされることを潔しとせずに団結し、1987年、ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)を結成しました。以来35年にわたり、一貫してフリーランスの地位向上と自らの権利の獲得のため、また優れたコンテンツの創造のために活動しています。
 今年、2022年春闘(春季闘争)を取り組まれるすべての労働組合員のみなさん、またコンテンツ産業に働くすべてのみなさん、そして「安い日本」からの脱却を願うすべての企業経営者のみなさんに、フリーランスのクリエイターから訴えます。
 こんにち、私たちフリーランスは、さまざまな働き方を通じて、メディアに働くみなさんと力を合わせてメディアの質の向上に貢献してきています。ともにコンテンツを創造する仕事に、やりがいと生きがいを感じています。
 そんなメディア制作の現場で、制作費や外注費が何年も、あるいは何十年も据え置き、または引き下げという事象が起きてはいないでしょうか。衣食住の基礎となる生計費原則は、正社員や非正規労働者、またフリーランスであっても同水準にあります。1991年のバブル崩壊、2008年のリーマンショック、また長引く「出版不況」などを理由に、制作費が長期にわたり抑制されている現状があります。なかんずくフリーランスは定期の昇給、ベースアップ(ベア)、福利厚生、労災補償といった安全保障の埒外にあります。
 多くの労働組合が、積極果敢な要求を掲げて今春闘を闘われることに敬意を表します。年明けには経団連の十倉会長が、今春闘では各企業が主体的積極的に対応するよう、強く呼びかけました。また岸田首相は、3%を超える賃上げを期待すると強調しています。
 コロナ禍で、働き方が激変するとともに、仕事が減少しているフリーランスは少なくありません。2022年春闘において、出版ネッツはフリーランスへの報酬の10%アップを求めます。今世紀に入ってずっとフリーズしたままのフリーランスの報酬を、増額して下さい。
 コンテンツ業界が今後も上質の成果物を生産し続けるために、私たちフリーランスの創造の源泉である報酬の充実は、どうしても必要です。現場で働くみなさん、経営者のみなさん、そしてメディアとコンテンツに接するすべてのみなさんに訴えます。