内閣府に「生成AIに関する声明」を届け、クリエイターの権利保護を要請
内閣府知的財産戦略推進事務局にて面談
クリエイター保護のため生成AIには適切な法規制が必要であるとの認識のもと、出版ネッツでは2026年2月に声明を発出した。この動きをより広げるため、内閣府知的財産戦略推進事務局にアポイントを取り、フリーランスの立場からの要望を伝える面談の場を設けてもらった。
事前に出版ネッツの声明(*1)、出版ネッツが行った生成AIについてのアンケート結果(*2)、質問事項の3つを知財事務局に共有し、2026年3月13日、東京都千代田区の中央合同庁舎第8号館にて、知財事務局の参事官補佐2名と出版ネッツ組合員4名での面談となった。
出版ネッツからの質問は多岐にわたり、生成AIによって起きている様々なトラブルにどんな対応策を検討しているのか、海外の法規制の動きや今回のアンケート結果をどう見るか、今後のスケジュール感などを聞いた。
主な出版ネッツの質問と知財事務局の方からの回答は以下のようなものだった。

「『学習データ』の開示はプリンシプル・コードで取り組んでいく」と回答
Q;世界各国で生成AI企業に対して著作権侵害の裁判が起きており、これに対応してAI規制法について議論、制定される動きがある。世界の動きと歩調を合わせていく必要があるのではないか。
A;世界各国で様々な問題が起きていることは認識している。海外の動きも見つつ検討を進めている。
Q;出版ネッツや日本フリーランスリーグのアンケート調査結果からはフリーランス・クリエイターの生成AIについての危機感が読み取れると思うが、どうとらえているか。
A;クリエイターの方々からの貴重な意見として参考にさせていただく。プリンシプル・コード(*3)についてのパブリックコメントは条文についてのご意見だが、出版ネッツのアンケート回答の生成AIによる嫌がらせ被害の声などは大変参考になる。
Q;「対価還元システム」に対しては懐疑的な声が多い。著作権者の中でも出版社や新聞社とフリーランスとの間には権力勾配があり、対価がフリーランスにまで還元されるかという問題もある。
A;クリエイターの権利を守ることの重要性は認識している。様々な働き方・就労形態をふまえて考えるというのは重要な視点だととらえている。また、生成AIを利用する立場とクリエイター双方の視点のバランスを考えて検討を進めている。
Q;「学習データ」の開示義務化を支持する声が大きい。「ラベリング義務化」「オプトイン、オプトアウト」について、どのように検討しているのか。
A;プリンシプル・コードの中で、「学習データ」を開示することで透明性につながるのではないかとの視点で検討を進めている。ただし、プリンシプル・コードの関連ではオプトイン方式の議論を明確に進めている状況ではない。プリンシプル・コードについての今後の日程は未定で、パブリックコメントを精査し調整を進めているところである。
このほか、出版ネッツからは制度を検討する際にぜひ、ヒアリングの場を設けてほしいと伝えた。フリーランス法ができる時は内閣府や公正取引委員会、厚生労働省などの方々から何度もヒアリングをしてもらった結果、フリーランス側の要望がかなり反映された法律になったと感じているので、生成AIについても同様にヒアリングは重要となると訴えた。また、絵を描く人たちが生成AIについて不安を抱き仕事としての継続を諦める人が出始めている中、透明性や安全性、トラブルが起きた際のセーフティネットの構築が必要であると強調した。
今回と同様の要請を文化庁著作権課にも行っているので、結果は追って報告する。
(カクイシシュンスケ/マンガ家)
(*1)「生成AIにおけるクリエイター保護のための適切な法規制を求める声明」
(*2)「生成AI問題と著作権」勉強会 事前アンケート調査結果」
(*3)内閣府が2025年12月に公表した「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(仮称)(案)」。2025年12月26日から2026年1月26日にかけてパブリックコメントの募集が行われた。


