フリーランスの保育格差解消を~東京都とこども家庭庁へ要請書を提出
2026年3月25日、出版ネッツは、「フリーランス・自営業者の保育利用に関するアンケート調査」をふまえ、フリーランス・自営業者が直面する保育園利用の不利益を解消するよう求める要請書を東京都およびこども家庭庁に提出し、懇談を行いました(厚生労働省へは郵送のみ)。東京都保育支援課との懇談には、出版ネッツから5名が、こども家庭庁保育政策課との懇談(オンライン)には6名が出席しました。

要請項目は以下の4点です。
1 育児休業制度の取得の有無が優先利用の対象(加点項目)になるような場合、育児休業制度がないフリーランス・自営業者には不利益が生じます。働き方によって不平等が生じないような審査制度にしてください。そのための方法として、次の3案を提案します。
①育児休業制度取得に関する加点項目を外す。
②加点項目を残す場合、フリーランス・自営業者を雇用労働者と同等の扱いとする。
③フリーランス特有の事情に配慮した加点項目を設ける、など。
2 フリーランス・自営業者は、雇い主による就労証明書を用意しづらいか、またはできません。就労時間を自己申請する書類を自ら作成することを認めてください。
また、すでに就労証明書に代わる書式を用意している自治体もあるので、そのような取り組みを周知し、地域によって差が出ないようにしてください。
3 保育を必要としている人が安心して子どもを預けられるよう、認可保育所を増やしてください。待機児童ゼロとうたっていても、実際は加点項目によって入れる施設が極端に限られたり待たされたりしている現状が耳に届いています。
4 育児と仕事の両立をより進めるために、子供・子育て支援部と雇用就業部(こども家庭庁と厚生労働省)が密な連携をとってください。
東京都もこども家庭庁も一定の理解を示す
東京都(福祉局子供・子育て支援部保育支援課)への要請・懇談では、フリーランス特有の困難に対して一定の理解が示されました。1について、加点項目は各自治体が決めているとの回答でしたが、出版ネッツからは、「フリーランスが増えている中で、東京都が各自治体に対して、働き方による不平等が生じないような審査制度をという通知を出すことによって、自治体が改善をはかるきっかけになるのではないか」と要望しました。「要望として承ります」との回答でした。2の就労証明書に代わる書式については、好事例としての評価が得られているので、まだ書式が用意されていない市区町村への周知を要望しました。3の認可保育所については、整備の主体である市区町村への多様なサービスを組み合わせて量を確保できるよう支援を続けるとの回答を得ました。
加えて、自治体への実態調査の必要性を伝えましたが、行政の事務負担を理由に慎重な回答に留まりました。
こども家庭庁(成育局 保育政策課)への要請・懇談でも、一定の理解が示されましたが、保育行政の実施主体は自治体であるとし、働き方の多様化に伴う課題として、今後の検討の参考にすると述べるに留まりました。
また、2017年に「多様な働き方に応じた保育所等の利用調整にかかる留意事項について」という通知が出されていることを確認し、フリーランス法第13条(妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮)に合わせ、改めて通知を出してほしい旨、要望しました。
いずれの懇談でも、要望に対する具体的な回答は得られませんでしたが、フリーランスが社会保障(保育)の枠組みから外されている現実を、当事者の声と自治体へのアンケート結果を通じて、直接伝えることができました。
(野手香織/編集・執筆)
*各要請書はこちら
東京都への要請書
こども家庭庁への要請書
厚生労働省への要請書


