生成AIについて文化庁著作権課からの回答
出版ネッツから文化庁著作権課へ、生成AIに関する声明と、質問、要請事項を送っていた。内閣府知的財産戦略推進事務局に送った内容と同様のものだ。それに対して4月7日、著作権課の担当者の方から出版ネッツへ電話で回答があった。
その内容は、おおむね以下のとおり。

・著作権法は権利の保護と利用のバランスをはかりながら考える必要がある。
AIとの関係では「AIと著作権に関する考え方について」を文化審議会で取りまとめた。著作権法の第30条の4は、思想又は感情の享受を目的としない場合にはAIの学習なども含めて著作物の利用ができるとしているが、権利者の利益を不当に害する場合には原則どおり著作権者の許諾を得る必要があり、AI学習だから何でもいいというのは誤解。その点は引き続き周知・啓発していく。
・令和5年度末頃からAIを含めた相談窓口を文化庁で設けた(*1)。具体的な被害相談を受け付けて、弁護士に対応してもらっている。いただいた相談については文化審議会の「法制度に関するワーキングチーム」令和6年度の第2回と、令和7年度の第1回で紹介した(*2)。
・AIとは直接関係しないが、著作権課で「誰でもできる著作権契約マニュアル」をつくって公開している(*3)。マニュアルの中で参考例も含めて紹介している。ほか、著作権課のものではないが文化庁から「文化芸術分野の舞台技術スタッフのための適正な契約関係構築に向けたガイドライン」も公開している(*4)。
・「AIと著作権に関する関係者ネットワーク」については総括の資料を公表して(*5)、引き続き会合を行っているが基本的には非公開なもので、詳細や今後の報告の有無は伝えられない。
・いただいたご意見は著作権課の中で共有する。それをふまえて今後どうするか検討する。
…そのほか、出版ネッツ側から、生成AIを加味した契約書のモデルが必要な状況である中、業界団体である日本書籍出版協会では生成AI問題を含めた契約書のガイドラインを検討しているとの記事が出ていた(*6)が、文化庁での動きはないかと質問すると、様々な動きをふまえて適宜対応していくとの回答だった。
出版ネッツから今後も引き続きいろいろと質問をさせてほしいとの要望に了承を得て通話を終えた。
生成AIについては内閣府も含めて様々な部署で検討されており、こちらからの要請に対してそれぞれ回答はあるものの、法制化と今後の動きについての全体像は未だ浮かび上がってきていない。
(カクイシシュンスケ/マンガ家)
(*1)文化芸術活動に関する法律相談窓口
(*2)法制度に関するワーキングチーム(令和6年度 第2回)
配布資料/資料2 生成AIによる声優を模した声の生成・利用と著作権との関係について
法制度に関するワーキングチーム(令和7年度 第1回)
>配布資料一覧/資料4 生成AIをめぐる最新の状況について
(*3)誰でもできる著作権契約マニュアル

