報告(関東支部):読書サロン9月例会

時代の空気を伝える本を味わう

9月7日、新宿区役所そばの喫茶店の会議室で、読書サロン9月例会を開催しました。昨年度は特別例会続きだったため、久しぶりの通常例会です。
私は、沖縄を描いた直木賞受賞作『宝島』(真藤順丈著、講談社)と、旅行作家の下川裕治氏の著・編による『新書 沖縄読本』(講談社)などを紹介。参加者からの紹介では、2017年復刻の『獄中十八年』(徳田球一・志賀義雄著、講談社文芸文庫)が印象的でした。1928年3.15事件で検挙され、敗戦後釈放されるまでの獄中生活18年・非転向を語ったものですが、46年に刊行されるとベストセラーとなりました。
ほかに80年代に「週刊プレイボーイ」や開高健『オーパ!』などで活躍した故・高橋曻カメラマンの『写真展 熱波』の図録も、当時活躍した芸能人、政治家など44人の肖像で、徳田球一の本と同様、彼らがスターとして戦後社会に迎えられたそれぞれの時代の空気を感じることができます。次回は11月頃に開催予定です。

(児玉イサオ/編集・執筆)

読書サロン出版ネッツ関東支部の自主活動。参加者各自が、最近読んだ本やお勧め本などを持ち寄り、
 読後の感想を語り合い、これからの本作りの糧としていこうという趣旨で、ほぼ2か月に1回開催しています。