月刊フォーラム 2013年3月号(3/4)

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◎計画性は必要?

――扱う金額も大きいし、計画性がないと難しそうですね。

内山 う~ん、計画性は……ないなあ。

千葉 ないなあ……ていうか、計画性があったら出版せえへんな。

内山 いま本が面白くない原因について大手出版社の人と話すことがあるんやけど、彼らが大変なのは、まさに計画性なんよね。今月は何冊、この日に出さなあかん、計画生産せなあかんというのでアップアップになってて、それが本の質を下げてるような気がする。
うちは、まあ周囲に迷惑かけてると思うけど、とことん粘って納得できるものを出そうというスタンスでやってる。たぶん11年間もってるのは、そうやって作ってきたものが市場に受け入れられてるんやな、と思う。

千葉 あとは従業員を多く抱えると大変やね。私はつい、いいかっこしたくて、自分が苦しくなる。それから、外注なら「この日までに仕上げて」と発注すれば終わりだけど、従業員となると指示をしたり、労働管理もしないといけない。

内山 組織となると、管理だけする人が必要なんよ。でも僕らは自分が一番のプレーヤーで、プレーヤーが管理するのは無理やねん。もし、どんな人材が必要なんやと聞かれたら、「社長」て答えるわ。ホンマにおったら嫌やけどな。

――中小出版社を取り巻く現状と展望はいかがですか。

内山 それは、めちゃめちゃ悪いし、これからどんどん厳しくなるよ。書籍・雑誌の総売上は今年1兆6000億円を割るやろし、書店側は効率的な販売をするために出版社を整理したいという考えが明らかにあると思う。
2012年の書籍・雑誌販売額でTSUTAYAが紀伊國屋書店を抜いたけど、TSUTAYAは売り上げ上位の出版社しか置かないと決めてんねん。いま出版社が全国に4,000社あって、常時稼働しているのが2,000社、そのうち100社が売り上げのほとんどを占めてる。で、その100社以外はいらん、ゆうのが売る方の本音やと思う。

◎起業に向いてるタイプとは

――そうした中で、生き残っていけるタイプ、起業に向いてるタイプというのはありますか。

内山 人に可愛がられる人は向いてるね。みんなが支えてくれたり、助けてくれたり、それができへんとつらいよ。

千葉 可愛がられるのが大事なのはフリーの人でも同じやろ。一緒に仕事して楽しい時間を過ごしたいし、そうするとアイデアもいっぱい出てくる。

――お二人とも、独立前に培った実績や人脈が生きていますよね。

千葉 そうだね。今も前の会社、まあクビになった会社やけど、そこの出身の人がお客さんやったり、こっちが仕事出したりして、持ちつ持たれつやってる。また関西の業界は狭いしね。

内山 あとは続けられることやな。

千葉 逃げないこと。

内山 いや、飽きひん、てこと。

千葉 ええ?!

内山 飽きるやん、同じことずっとやってたら普通。そんな奴もおるやろ。起業してはやめるのを繰り返して。俺らは24時間営業の年中無休で、どこまでが仕事かよう分からへんようなとこがあるけど、でも飽きてへん。むしろ国内にいる限りは「あ、これ本になるかな」と常に考えてまうな。トラブルがあると「これ本になるかも」とかな。

◎ネッツはみんな起業家

千葉 そもそも、ネッツの人は言うたらみんな起業家やろ。

内山 そう、個人事業主は起業家と違うと思ったらあかんねんで。労働組合という側面や、自分で仕事をしているのか使われているのかが微妙なのかもしれんけどな。

千葉 不払いとか未払いとかは、みんなで対抗せなあかんけどね。

内山 ネッツの人はプロ野球選手みたいなもんだと思うんよ。あれも組合あるけど、「何であいつだけ1億円もらってんねん、不平等や」とか言う奴おらへんやんか。あくまでも主体は自分で、腕を磨かないかんし、一目置かれるようにせなあかん。プロ野球労組みたいな意識を持たないかんと思うね。

(取材と文:里村兆美/編集・執筆)

(続く)

※月刊フォーラム(forum)は、出版ネッツの機関誌です。