月刊フォーラム 2013年1月号(3/3)

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そろそろ明ける? 電子書籍のファーム時代
──「電子書籍元年」から4年めの春

Q 電子書籍の販売動向は?
──2002年の市場はわずか10億円でしたが、10年には650億円まで成長しました。この年、初代iPadの発売で「電子書籍元年」と騒がれたのは記憶に新しいでしょう。当然、翌11年の市場は拡大すると思われました。

Q どれだけ増えたのでしょう?
──いえ、減りました。前年からマイナス3%の629億円です。

Q えっ、どうして?
──電書市場を支えてきたのは、ケータイ向けコンテンツです。ご存じの通り、その主役はBL(ボーイズラブ)、TL(ティーンズラブ)を中心としたコミックです。10~11年、スマホへの移行増にともない、こうした旧ガラケーの市場が縮小してしまったのです。

Q 12年後半、kobo(楽天)、Kindle(アマゾン)など、新端末が発売されましたね。
──プレイヤーは出そろいましたが、投げるボールが乏しすぎます。あいかわらずタイトル数がそろわない。ただ、出版社が消極的なのは理解できます。デジタル化の手間に見合った回収が見こめませんから。

Q そこで、国策としてデジタル化を進める動きが出てきたのですね。
──経済産業省の「緊デジ」が格安・無料で既刊本を電子化してくださるというわけです。申請数は、約5万冊/約460社(12年12月20日時点)に達しましたが、検索可能なリフロー型の申請数は3分の1以下です。

Q 今後の見通しは?
──デジタル化が加速するのは間違いないでしょう。それが、イコール電書時代到来となるかどうかは怪しい。

Q では、まだ春はやって来ない?
──電書に対する周囲の関心が薄れています。長短ひと通り見えたので、「商売」としての期待感が消え、語り合うのにも飽きたのでしょう。そろそろ「電書 vs. 紙本」という対立軸を外してみてはいかがでしょうか。

(大迫秀樹/編集・執筆)

※月刊フォーラム(forum)は、出版ネッツの機関誌です。