月刊フォーラム 2012年1月号(1/2)

迎春 2012を、変化の年に

ただ「反対」を唱えるだけではなにも変わらないという見方もあるかもしれない。
でも、深刻な事故に見舞われて「やっぱりもう原発はごめんだ」と訴える
福島からの声にまずは耳を傾けたい。従来型の運動とは別の、新しい意思表示や議論、
これまでとは違うエネルギーへの発想はすでに始まっている。
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分断を超えて

──放射能汚染の時代を生きるために
「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」世話人・佐藤幸子さんに聞く

原発事故発生からまもなく11か月。国は「収束宣言」を出したが、いまだ放射線の空間線量が「放射線管理区域」(毎時0.6μシーベルト)に匹敵、あるいは上回る地域もある中で人々が暮らしているのが福島の現状だ。事故後すぐからさまざまな活動を展開してきた佐藤幸子さん(プロフィールはこちら)に、福島の今とこれからについてお話を伺った。
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ただちに出た心への被害

経済産業省前「テントひろば」新春もちつき(1月4日)

「ただちに健康に影響するものではない」という枝野官房長官(当時)の言葉は、事故直後からいやというほど聞きましたよね。でも、福島では人と人との分断という被害が、ただちに現れています。

子どもの被曝を心配する人が、家庭でも職場でもそれを口にできない。動ける人はすでに県内外に避難をしていますが、それが地元を捨てたとか逃げたとか言われるので、不安をもちつつもさまざまな事情で留まっている人はつらい思いをしています。これにはテレビや新聞が政府の言うままに「安全」とか「収束宣言」と報道してきたことも一役買っているし、県や市町村で一貫して「大丈夫、安全」という講演会をやってきたことも大きい。福島はあいにくインターネットの普及率が低くて、すごく情報格差があります。

補償金も地域を分断しています。町の一部だけが避難区域に指定されたわが川俣町などは、同じような汚染の度合いでも指定された地区だけ補償金が出てすぐ隣にはない。先祖代々の土地を離れることはかんたんではないし、作っても野菜も売れない。私たち「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(略称:子ども福島)」が避難相談会などの活動をしていることも、そんなことをするから福島が汚染していると思われる、風評が出るといって非難されたりする。本来責任を取るべき相手にではなく身近な人に怒りをぶつけて、お互い心が通じなくなってしまっています。

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福島の人が望んでいる「廃炉」

いったん事故があると、土地も空気も水も海も汚染され、生活が根こそぎ壊され人々を苦しめる。原発は絶対安全といっていたのにそうではなかったわけですよね。だから、まずきちんと謝罪をして誤りを改めてもらいたい。つまりまず原発を止めないと。でも、東電も政府もそれをしていません。それがいちばん怒りを感じるところなんですよね。

除染するにしても、まず子どもを安全なところに避難させてからでないと被曝を重ねてしまう。それと同時に、原発はみんな止めないと、避難した先々に原発がもれなくついているのが日本の現状です。これでは安心できません。福島県民もいまやっと議会で「全部廃炉に」となった。なのに、まだ政府は「安全な原発を輸出」なんて言い出している。反省のかけらも見られない。 (次ページに続く)

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※月刊フォーラム(forum)は、出版ネッツの機関誌です。

1月 29, 2012 · URITANI
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